| Short Story(1) | |
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満弦ヶ崎中央連絡港に降り立つ。 数時間の旅時、長い時間拘束されるのは辛かった。 久し振りの地球・・・久し振りにあの人に逢えると思うと頬が緩みそうになる。 「・・・ん、どうしましかた、姫」 今回のホームステイに供にするミアが不思議そうに訊ねてきた。 「いいえ、なんでもないわ」 私・・・フィーナは普段どおりの凛とした表情に戻り言葉を返した。 「さて姫様、大使館に行って館員の方々に挨拶に行きましょうか」 「そうしましょうか、ミア」 月からの生活から離れ、この地での新生活が始まる・・・。 「はじめまして、フィーナ姫」 この女性はカレン・クラヴィウス。 同じ月の出身で事実上私の監視役だということ。 いかにもカタブツそうな女性である。 彼女の説明を聴く。 通う学園は「満弦ヶ先大学付属カテリナ学院」。 月学概論という特殊なカリキュラムが組まれているとのこと。 なんでも地球唯一の月との連絡港がある満弦ヶ先中央連絡港市特有とのこと。 なるほどね・・・俗に言うお国柄ってことなのね。 ホームステイ先は「朝霧邸」になるとのこと。 「実態は「穂積邸」と言ってもいいわね。 あ、穂積は王国月博物館の館長代理をしている女性です。 彼女は月に留学した経験があるので選出しました」 月に留学した地球人・・・。 向こうではいろいろ勉強してきたけどかなり珍しいわね。 「あ、尚その朝霧邸には・・・確か姫と同じ歳くらいの男女の兄妹がいますので」 同じ歳・・・ということは同じ学年になるはず。 というか朝霧・・・その姓に引っかかるものが。 そもそも何故別姓の女性が? その疑問をカレンにぶつけてみた。 「あの・・・なんで朝霧かしら?」 「なんでも彼らの両親は既に他界したそうです。 それで穂積がまだ幼い朝霧兄妹を支えてるというわけです」 あ・・・。 そっか、そんな過去があったのね。 うっかり本人たちに聞かなくて良かったわ。 「ちなみにその兄妹の名前は朝霧達哉と麻衣と申します」 ・・・・・・・・・・。 ・・・・・・。 ・・・。 !!! 「え、朝霧達哉?!」 思わずカレンに詰め寄る。 「ひ、姫様!落ち着いてください!!!」 ミアが制する。 そんな状況でもカレンは落ち着いた様子だった。 「そうですが・・・彼が何か?」 まぁこの質問は当然でしょうね。 普段の姿とは全く違う行動をしてしまったのだから。 「え、ま、まぁ・・・「旧知の仲」とでも言っておくわ」 なんとか誤魔化してみた。 「そうですか・・・それではそろそろ穂積邸に向かう準備をしましょうか」 月から持ってきた荷物は既に移動用の車に積んであるとのこと。 カレンが電話で何かを伝えてる。 その後部屋のドアが開き女性が入ってきた。 「始めましてフィーナ姫、王国月博物館の館長代理を務めています穂積さやかと申します」 カレンと違って物腰が柔らかそうな女性である。 彼女(というか達哉の)家はここからそう遠くはないとのこと。 「でわ、早速移動しましょうか」 いかにも高級そうな黒塗りの車に案内される。 私はすぐに乗り込もうとしたのだがミアが戸惑っている。 「・・・?ミア、どうしたの?」 「え・・・はい、私みたいな御付きの者も乗っていいのかと」 私は思わず噴出した。 ミアの性格からして遠慮してるとは思っていたけどまさか本当だったとは。 「ミアも一緒でいいんでしょ?」 私は二人に訊ねた。 「えぇ、もちろんです」 まず答えたのはカレンだった。 「だって同じ月からのお客様だもん」 とさやかはクスクス笑いながら答えた。 その言葉を聴いたミアの表情がぱっと明るくなる。 「じゃ、じゃぁお邪魔します!」 意気揚々と車に乗り込むミア。 私もその後に続き乗り込む。 そしてさやかがドアを閉め前に乗り込む、これで出発できる体制に。 「それでは姫様、不慣れなこともあるでしょうが頑張ってください」 出発の間際にカレンに声を掛けられた。 「えぇ、頑張りるわ」 と答えた、その直後車が走り出した。 車に揺られること数十分、目的地である朝霧邸に到着した。 さやかがドアを開け私たちが降りる。 運転してきた男性は後ろの荷室から私たちが月から持ってきた荷物を下ろす。 ミアがその荷物を持つ間にさやかがスピーカーらしきもの越しに何かを喋ってる。 「ただいま、姫様を連れ来たわよ」 「あ、おかえりなさ〜ぃ、ちょっと待ってて、今鍵を開けるから」 元気そうな女性の声だった。 この声の主が麻衣という女性かしら・・・。 そう考えているうちに鍵が開けられドアが開く。 ここから私の新生活が始まる。 そう、彼と一緒の時間を共有する新生活が。 - 終わり - | |